塩谷 和昭さん(製薬企業勤務)「名古屋市立大学」
研究テーマ:希少疾患治療薬の効果的なグローバル開発戦略に関する研究
略歴2004年3月 名古屋市立大学薬学研究科 博士課程前期修了(MPharm)
2023年4月 名古屋市立大学芸術工学研究科 博士課程後期入学


研究内容
研究テーマは「希少疾患治療薬の効果的なグローバル開発戦略に関する研究」です。世界には約7,000の希少疾患が存在し、患者数は全人口の5%に達しますが、95%の疾患では未だ有効な治療薬が存在していません。さらに、国内では海外既承認薬が未開発/未承認といったドラッグ・ラグの問題が未だ存在します。一方で、希少疾患治療薬の開発は低い疾患認知度・診断率、高い開発コスト及び低い収益性、薬事・医療制度に至るまで種々のハードルがあり、必ずしも従来の開発戦略が有効ではありません。そして近年、それらに対応すべく急速に最新の技術や戦略、規制が取り入れられています。本研究では、複雑に絡み合う課題を分解し、それに対する最新技術や戦略等の効果を分析することで、希少疾患に対して持続可能な研究開発を可能とする有効なグローバル開発戦略を明らかにしたいと考えています。
進学を検討している方々へのメッセージ
コロナウィルスの大流行により、働き方改革が大きく進み、自身で働く時間/場所を選択できる機会が増え、また学びの場も社内研修から自己研鑽へと変化してきているかと思います。大学院での研究では、課題の特定から仮説設定、データ分析及び結果の考察といった一連の研究過程はもちろんのこと、業務の中では学ぶことのできない知識や技術、多様な背景を持つ先生や同僚から新たな思考を学ぶことができます。興味のある方は、気軽に話を聴いてみてはいかがでしょう。
児玉研究室を選んだ理由
私は製薬会社に約20年間勤務し、様々な疾患領域における医薬品開発の戦略・臨床試験計画の策定及び実行、ポートフォリオマネジメント等に携わってきました。近年の医薬品開発は様々な技術革新が進む一方で、それを取り巻く環境や課題がより複雑化し、従来の手法が必ずしも適用できない状況が多々あります。そのような状況下で、有効な手段を見出すにはこれまでの実務経験に加え、情報工学の技術を駆使した網羅的なデータ分析や従来の枠組みに囚われずイノベーションを生み出す思考などが必要となります。そこで、データサイエンスや産業イノベーションを学び研究できる本コースを選択しました。
社会人学生になるにあたって、どういうこと調べましたか?また何を重視しましたか?
私は社会人大学院生ですが、当初は特に仕事と研究の両立を心配していました。そのため、大学院の選定では複数の候補となる大学の先生に直接お話を聴き、研究の方向性のみならず、時間的なフレキシビリティや参加形態を調査しました。本研究室では、関連するミーティングが業務時間外にWeb形式で行われ、業務に大きな影響を与えることなく、研究に取り組むことができています。